この10年間で携帯電話は恐ろしいほどに普及しました。
尋常でない速度で所有者が増え、尋常でない速度で技術が進化してきました。
その結果、携帯電話の利用について後付けで議論される問題が多くあったように思います。
電車内のマナーもその一つではないでしょうか。

一応、現在では車内マナーとして次の二つが一般的になっていると思います。

1.優先席付近では携帯の電源を切る
2.マナーモードに設定し、通話は控える

今回はこれらのマナーにどんな理由があるのか、改めて考えてみたいと思います。

まずは「1.優先席付近では携帯の電源を切る」からです。

このマナーについては、理由として医療機器への影響が挙げられています。
携帯のマイクロ波が、医療機器の誤作動の原因になるというものです。
具体的な例としては、ペースメーカーが有名だと思います。

では、そもそもペースメーカーとはどのような機器でしょうか。
簡単に言えば、心臓の働き監視し、問題があったときにそれを助ける装置です。
心臓の電気信号を感知して、信号が途切れたときに電気刺激を発生させます。

ペースメーカーが携帯電話のマイクロ波を誤って拾ってしまい、心臓の電気信号が途切れたことを察知できない可能性がある、というのが優先席付近で電源を切る理由です。

それでは、実際に影響を及ぼす可能性はどの程度なのでしょうか。

ペースメーカーの種類によって違いがあるので一概には言えませんが、携帯電話の影響を受けるのはお互いの距離が15cm前後まで近づいたときだと言われています。
隣に座っている人が胸ポケットに携帯を入れていた場合、それに近い距離になるのではないでしょうか。
ラッシュなどで混雑すれば、危険度はさらに高まります。

これはどこかで聞いた話ですが、実際のところペースメーカーを使用している人は日本の人口で言えばかなり少数です。
その中でも携帯電話から影響を受けるものを使用している人はさらに少なく、その中で電車を利用している人はもっと少なくなります。
現状で、ペースメーカーへの影響を理由に携帯電話のマナーを説くことは、難しいのではないかという見方も多いそうです。

また、逆にシルバーシートだけでは対策として不十分という見方もあります。
携帯電話の特性上、外見だけでは誰がどこに携帯をしまっているのか判断できません。
自分から避けることが難しく、シルバーシートに座れば安全というわけではないのです。
影響を受ける人が少数であることを考慮して、車掌室に案内するなどの対策を取る方が効率的だという意見もあります。

長くなってしまいましたが、結論から言って「優先席付近では携帯の電源を切る」は必要なマナーだと思います。
ただし、ペースメーカーを使用している方への配慮としては不十分で、しかも非効率です。
鉄道会社が安易に危険を煽り、問題をややこしくしている部分もあるのでしょう。
個人的には、あまりストイックに考える必要はない気がします。
ただ、影響を与える可能性が0%でないことは念頭に置いておく必要があると思います。

「2.マナーモードに設定し、通話は控える」については次回で書きますので、よろしければそちらもご覧ください。